「帰ってきた寺山修司」世田谷文学館
世田谷文学館の企画展「帰ってきた寺山修司」に行って来ました。
世代を超えた多くのファンが来場しており、寺山人気の健在ぶりを実感しました。
概要:寺山修司(1935~1983)が去ってから30年。戯曲の再演や映画上映などが開催され、その文学性は時代を越えて支持され新たなファンを獲得している。没後30年の年に、創作活動の原点ともいうべき青春時代を紹介し、《ことばのひと―寺山修司》を再検証する。
展示構成:1生い立ち 2俳句 3短歌 4詩 5寺山修司からの手紙(予定)
開催期間:2013年2月2日(土)~3月31日(日)
■二階企画展示室
短歌や俳句の創作時代、歌謡曲の作詩から天井桟敷時代までの資料が展示されていました。
その中で特に気になったのは、中学の文芸部時代に編集した文芸誌『白鳥』。そして恩師である中学教師・中野トク、『牧羊神』の同人山形健次郎と松井物歌宛の寺山自筆のハガキです。
中野トク宛のハガキは、受験や入院という当時の状況と葛藤が感じられました。私信であるこのハガキは、人間寺山修司の実像にふれた気分になります。70通以上あるので全てその場で読むのは大変ですが、書籍も刊行されているようです。
短歌の創作中の原稿用紙もありました。朱筆が入れられ推古した思考過程が見れます。通信連絡票や卒業証書、学級新聞、賞状などもありました。
■オリジナル映像上映
フロアの一番奥で、オリジナル映像「寺山修司~天井桟敷の生まれた町」(九條今日子・横尾忠則出演)が上映されていました。
「1965年世田谷区下馬に居を構えた寺山は、彼を囲むサロンのようなものを開催。破格の入場料だったが、新しい伝説を求める若者が集まり、多額の資金が集まった。これを元手に天井桟敷の最初の演劇『青森県のせむし男』が上演された…」というお話。
九條さんと横尾さんのインタビューが良かったです。
人が溢れていたという下馬の家ですが、会場には見取り図と写真も展示されてます。緻密に書き込まれたイラストの見取り図は、この家に行ったような不思議な気分になりました。
■一階の展示室
歌集『田園に死す』の歌を記した垂れ幕が天井から吊るされ、寺山の朗読する音声が流れていました。壁際のソファに腰掛けて、聞き耳をたてながら、該当する垂れ幕を目で追いました。数分で聴き終わるのですが、その展示室自体がアートのようで面白かったです。
一階のロビーでは寺山関連本やCD・DVDが販売されてました。
帰りにもう一度見ようと思っていたらCLOSEされていて残念。