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幾原邦彦作品等について語るブログ

生誕100周年 中原淳一展

日本橋三越本店にて開催されている「生誕100周年記念 中原淳一展」に行ってきました。

下書きが残ったままの生の原稿、雑誌や人形の実物が多数展示されており、中原淳一の魅力あふれる展覧会でした。

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中原淳一(1913~1983)

戦前から戦後にかけて、雑誌編集をはじめファッションデザイナー、人形作家、インテリアデザイナーなど多彩な才能を発揮。一貫して女性として美しく生きる姿勢、外面とともに内面を磨く大切さを説き、常に圧倒的な支持を得て来た。

中原淳一の世界 幸せになる言葉 

本展覧会は生誕100周年を記念しその偉業を紹介するもの。デビュー前から晩年に至るまでの足跡を押さえつつ、戦後自らの雑誌『それいゆ』『ひまわり』『ジュニアそれいゆ』を創刊してから花開いた多彩な才能に重点を置いて展覧。雑誌の表紙絵や挿絵、スタイル画などの原画を中心に、人形、付録など約400点を展示。初公開となる『ひまわり』表紙原画3点も見どころ。 

 

2月10日17時過ぎに観覧しました。

 

■お客さんは昔の少女達がメイン

70歳以上とみられる女性を中心に、多くのファンが訪れていました。9割は女性だったと思います。「ソレイユ」の創刊が1946年「ひまわり」が1947年ですので、最初の世代のファンは、70~80才近くになります。口々に「懐かしいわ」と少女時代の思い出を語っている声が聞こえてきました。

10代と見られる若いファンの方も見かけました。ロリータファッションでお母さんと一緒に来ている方もいて、やはり「かわいい」を連発してました。世代を超えて愛されてますね。

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撮影OKの場所が何ヶ所かありました。

これは中原淳一がデザインしたドレスを再現したもの。

 

■展示内容

  • デビュー前の10代半に描かれた画帳(西條八十や竹久夢二の影響あり)
  • ショップひまわり(中原が1939年に麹町に開店した少女グッズ販売店)で販売されていた商品(うちわ、カレンダー、トランプ占い)
  • 原画/付録等:「少女の友」,「娘十二ヶ月」,「きものノ絵本」,「ソレイユ」,「ひまわり」,「髪の絵本」,「ジュニアそれいゆ」,「女の部屋」他
  • 人形
  • VTR上映「美しく強く生きた人中原淳一

 

■感想

これまで中原については詳しくなく、瞳の大きな少女絵を描く画家のイメージが強かったのですが、今回の展示でその生涯とファッションデザイナー、少女雑誌編集者の側面を知りました。

 

中原は日本美術学校で西洋絵画を学び、1932年19才の時に開いた人形の個展をきっかけに、雑誌「少女の友」で挿絵や表紙を描きはじめます。しかし戦争がはじまると、軍部の圧力から優美なイラストが禁止され、彼の作品は掲載されなくなります。戦後、彼は自ら女性誌「ソレイユ」と少女誌「ひまわり」を創刊しました。装うことが罪悪のようにされていた戦時中の考え方から抜け出そうと訴え少女にふさわしい服装や髪型について提案したといいます。

 

今回の展示で印象に残ったのは、彼の描いた少女向けの実践的なファッションとライフスタイルの記事でした。それは、洋服、ヘアスタイル、アクセサリー等の、流行の紹介から着回しの仕方、部屋を快適にする方法等についてのものです。美しいイラストと平易な文章で語られた記事は、読者の大きな支持を受けたそうです。

 

パリに一年間留学していた時期には、パリから現地のファッション事情について寄稿していたものの、中原がメインでなくなったことで雑誌の売上はかなり減少したとのことです。

雑誌の編集の他、ミュージカルやファッションショーを開催するなど、マルチに活躍した中原。それでも溢れ出るアイディアを形に残したくて、睡眠時間が2~3時間という日々が続いたのだとか。

 

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「ひまわり」で提案した少女のための部屋の再現。

  本棚には彼が挿絵を描いた吉屋信子川端康成の本もありました。

 

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 ファッションデザイナーの丸山敬太氏によるドレスの再現。デザインの元絵は「七人のお姫様」の裏表紙原画。

「七人のお姫様」は親指姫、人魚姫、白雪姫、白鹿姫、雪姫、シンデレラ、ポストマニの登場する童話集です。 

 

■お祝いメッセージ

各界の著名人からの生誕100周年祝福メッセージが展示されていました。(高橋真琴美輪明宏宇野亜喜良竹宮恵子瀬戸内寂聴 他多数)

 

■販売コーナー

展覧会場を出ると物販会場があり、書籍、ポストカード、ピンバッチ、マグネット、ポチ袋等が販売されていました。こちらも大盛況でした。

以前から欲しかった「シルエット絵本」を購入しました。

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 少女革命ウテナの冒頭アバン「遠い昔のお話しです。あるところに~」のお姫様シルエットのイメージ元になったという絵本。読むのが楽しみです。

 

 生誕100周年 原淳一展

会期:2/6(水)~2/18(月)

会場:日本橋三越本店

開館時間:10時~18時30分(19時閉場)、最終日は17時まで(17時30分閉場)

入館料:一般・大学生800円、高校・中学生600円、小学生以下無料 

■今後の開催スケジュール

香美市やなせたかし記念館(詩とメルヘン絵本館):4/10(水)~5/20(月)

そごう美術館(横浜):6/1(土)~7/15(祝)

阪急うめだ本店(大阪):7/24(水)~8/5(月)

刈谷市美術館(愛知):9/14(土)~11/3(日)

高崎市美術館:12月以降(予定) 

詳細は( http://www.junichi-nakahara.com/archives/2186 )をご覧下さい。