ピングドラム最終話。台本ラストに記述されていた「3兄妹のその後」のシーン。
池袋の西武ギャラリーで開催されている「少女革命ウテナ原画展~輪るピングドラムと幾原邦彦の世界」。ここで展示されているピングドラム台本(24話「愛してる」)に、完成版とは異なるセリフと3兄弟のその後のシーンが記述されていました。
以下ネタバレとなります。
ピングドラム台本について
ピングドラムの台本は、2011年末の大こそピン祭で来場者にプレゼントされたことがあります。しかしそれはシリーズ前半の回だったと思います。また昨年のマルイワン展示会でも展示されたのですが、この時はガラスケースに入れられた上で冊子の中は読めないように閉じられていました。
今回のウテナ展ではガラスケースの中にあり手は触れられないものの、最終話の台本が見開きの状態で展示されています。 またとない機会であるため、興味深く読んでいたところ、思いがけないものを見つけました。(このコーナーは非常に混雑しているため、開場直後の空いている時間等に何度か列に並んで読みました。)
まずは最後の少年たち(冠葉と晶馬)が歩いていくシーン。完成版にはないセリフが最後にありました。 下記の太字部分です。
少年B(晶馬)ねぇ、僕たちどこへ行く?
少年A(冠葉)どこへ行きたい?
少年B(晶馬)そうだな…じゃあ…明日へ
朝焼けの陽射しの中、冠葉と陽毬の手が重なる(スロー)。
放送時は「明日へ」というセリフはなかったため、彼らがどこへいったのかが随分と議論になりました。またそもそもあの少年たちが誰だったのかという謎もありました。
そして朝の陽射しの中で重なる冠葉と陽毬の手。二人のやりとりは、冠葉が陽毬を車両の座席に移動させるところが最後でした。まさかこのような続きがあったとは。
幻の海浜の3兄妹のシーン
さらに次のページが透けています。左右反転になりますが目を凝らしてみたところ次のような文字が判読できました。
朝の海浜、陽毬の手を引く冠葉
(PAN)足切って水しぶきキラキラ。朝の光の中で優しく笑む冠葉。ゆっくりとL
(WIN)ゆっくりと重なる晶馬と陽毬の手
(WIN)陽毬の手をとって浜を走る晶馬
(WIN)逆光の朝の光の中、優しく微笑んでいる
なんとも美しい情景です。危険なほどに甘美です。
放送された版では、少年たちが歩いていった後は、天使のラッパが揺らぎ、陽毬のベッドが遠のき、陽毬から投げられた林檎が二人の手に届いた後、両手で包んだピングドラムが描写されて終わりました。
今となってはこの完成版になれきっているため、もし放送時にこのシーンを見ていたらどうだったのか予想もつきません。しかし最後の最後のシーンであるため、感想も違ったと思いますし、議論の行方も大きく変わったことでしょう。
続きがまだ少しあったようなのですが、残念ながら判読することはできませんでした。ただ陽毬の「忘れないよ絶対にずっとずっと」はこの後にあったようです。
「少女革命ウテナ原画展~輪るピングドラムと幾原邦彦の世界」は本日3月25日(月)まで開催されています。
まだ未見の方はこの機会にぜひご覧いたければと思います。