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幾原邦彦作品等について語るブログ

想稿・銀河鉄道の夜

以前より気になっていた北村想「想稿・銀河鉄道の夜」がウェブ上に公開されていたことを知り、早速読んでみました。

http://suiseidou.cool.coocan.jp/archive/index.html

「想稿・銀河鉄道の夜」とは劇作家の北村想の代表作となる戯曲です。1986年の初演からたびたび再演されており、高校演劇では定番といわれる作品だといいます。宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」のブロカニロ稿第・四次稿をベースに翻案・戯曲化したとのこと。

 

想稿・銀河鉄道の夜

想稿・銀河鉄道の夜

 

 賢治の「銀河鉄道の夜」は難解なところがあり、読むのに苦労するところがあるのですが、それに比べるとこの戯曲はシンプルなセリフと構成に整理されていて、とても読みやすいものです。そのため素直に心に入ってきてストンと収まりました。高校演劇の定番と言われているのもわかる気がします。

賢治版やアニメ版(1985)にある後ろ暗い部分を減らして、透明で綺麗な部分を強調している印象。舞台で見たらさぞかし素敵でしょうね。賢治版よりも、セリフが整理・補足されているため、各キャラクタの考え方や性格が生き生きと伝わってきました。特にタイタニック少女との別れのシーンが印象的。

輪るピングドラム」を観たあとで「銀河鉄道の夜」の知識を補完したい人が、読む目的にも適していると思います。

ピングドラム1話で賢治について熱く語る二人の少年が登場しますが、彼らも学校の文化祭でこうした「銀河鉄道の夜」の演劇を観たのかも……などと、とりとめのない妄想が膨らみました。