101%メモ

幾原邦彦作品等について語るブログ

万有引力本公演「リア王」始まる

万有引力 の「リア王」がいよいよ始まります。(5月16日(金) から5月25日(日)まで座・高円寺1 にて)

1991年にロンドン、カーディフストラトフォード・アポン・エイヴォン(シェイクスピアの故郷)のロイヤル・シェイクスピア劇場で公演し、大絶賛されたという伝説の作品。

当時の劇評が万有引力公式WEBに掲載されていますが、手元にある『J・A・シーザーの世界』によると、当時ザ・ガーディアン誌は「プッチーニのようではないが、ロイド・ウェバーより上を行くものである。次回作は是非とも『レミゼラブル』に挑戦すべきだ」と書いたそうです。

アンドルー・ロイドとは、『エビータ』『キャッツ』『オペラ座の怪人』等のアンドルー・ロイド・ウェバーのことですよね。

いうまでもなくシーザーは偉大な作曲家ですが、本場のイギリスの新聞にこう評されるというのはやはり凄いことではないでしょうか。

前回の「観客席」は、「観客席にいる自分とは何者なのか」と見る者に自問させるものだったと思います。通常の演劇におけるお約束をズラし、見るものの演劇に対する認識の枠組みを脅かし、ひいては現実認識すらも怪しくさせるような恐ろしさがありました。

邪宗門」は、身毒丸に通じるような母子の愛憎の物語であり、人の心の奥底にある鬼や狂気の怨念を、演劇の回路を通じて浄化するような作品だったと思います。

「SUNA」は、未だわからないところがあるのですが、スクリーンに映写される膨大な量のテキスト(猛スピードで流れ去るためすべてを読解することは困難)、脳の統合機能を喪失したかのような不条理な物語進行とセリフなどから、アウトサイダーアート的、シュールレアリスム的な手法により構築された作品だったのだと思います。

リア王」はシェイクスピアの戯曲を読む限り、人の愚かさを描いた重厚な悲劇のようです。果たしてどのようなお芝居になるのか楽しみです。

第59回本公演 幻想音楽劇『リア王』-月と影の遠近法-

作◎W・シェイクスピア(坪内逍遥訳) 

演出・音楽◎J・A・シーザー

美術・衣装・メイク◎小竹信節

構成・共同演出◎髙田恵篤

出演◎万有引力俳優陣 工藤丈輝 竹林加寿子 ほか

日時◎2014年5月16日(金) - 5月25日(日)

会場◎座・高円寺

http://www.banyu-inryoku.net/