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幾原邦彦作品等について語るブログ

アニメスタイルの『少女革命ウテナ』イベントに行ってきました

新宿ロフトプラスワンで開催されたウテナイベントに行ってきました。

小黒祐一郎さんが「アニメ雑誌編集者の仕事」と「少女革命ウテナでの自身の仕事」について語るイベント。思っていたよりも多くウテナの話を聞くことができました。とても熱く楽しい夜でした。 

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少女革命ウテナ』をめぐるアニメ雑誌編集者の冒険

2013年8月14日(水)開演19時30分

会場 新宿ロフトプラスワン

出演 小黒祐一郎 小林治

ビーパパス=デュエリスト

小黒さんが「ビーパパスの小黒祐一郎です」と挨拶すると大きな拍手が起こりました。

ウテナを制作していたころ、小黒さんを含むビーパパスは、本当に世界を革命しようとしていたそうです。西園寺や桐生冬芽のように、本気で世界の殻を破ろうとしていたというのです。

冒頭から熱いコメントでテンションが上がりました。この作品がいかに真摯に作られたかは、完成した作品からも伝わってきます。しかし直接このような言葉を聞けて胸が熱くなりました。

小黒さんと幾原監督

小黒さんと幾原監督の関わりは1990年の「もーれつア太郎」から。アニメージュの記事の中で幾原監督について書いたのが初だったそうです。やがてセーラームーンの記事で毎月のように幾原監督について書くうちに、深夜に長電話で話すようになり、「一緒に企画をやりませんか…」という話になったそうです。

ビーパパス設立

深夜アニメではない女玩モノ(変身グッズ等を販売する少女向けアニメ)を……ということで案を練り、企画書を持って会社を回ったものの、スポンサー探しは難航したようです。当時の監督の口癖は「世界の果てを見た」。大月プロデューサーに出会って本格的にプロジェクトが始動……このあたりの事情は、『薔薇の容貌』や、幾原監督が連載していた『監督日記』でも読んでいたのですが、生で聞くとやはりワクワクします。

自前のスタジオを借りることになり、一度はらせん階段つきの物件に決まりかけたものの、手狭であったため広い地下の物件にスタジオを借りた話。アライグマのイロイロの話などなど。やがて話はウテナの雑誌記事の話になりました。

ウテナの雑誌記事

当時のアニメージュは毎号のようにウテナの特集ページが掲載されていました。プロのカメラマンにより撮り下ろされた豪華な写真と、びっしりと文字が埋められた解説。今見てもため息モノの美しい紙面ですが、これも小黒さんのお仕事だったそうです。

ウテナは9か月全39話が放送されましたが、自分の場合、当時は1月分のアニメを視聴したら雑誌の記事を読んで理解を深めるという視聴サイクルでした。アニメージュの記事は、他紙に比べて洞察が鋭く、読んで開眼することが多いものでした。なぜこんなに腑に落ちる記事が書けるのだろうと不思議だったのですが、小黒さんが執筆していたのであれば納得です。

 

ウテナ画集「The hard core of UTENA」

後半は先日発売になった「The hard core of UTENA」についての話。

この画集にはコデックス装という製本方法が使われており、机の上におくと、手で押さえなくてもパタンと見開きにして読むことができるそうです。そのため手で持つのではなく机に置いて読むのが正しいのだとか。

セル撮という専用に撮影された素材を使っているため、A4まで拡大しても美しく鮮明な画が保たれているのだそうです。小黒さんは、小さいカットを多数詰め込むページレイアウトにフラストレーションを抱えていたそうで、このサイズで発売できる喜びを語っていました。

帰宅後、画集を手に取ってみたところ、確かにこれまでになく美しいです。

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アニメ様のイベントには初参加でしたが、あっという間の二時間でした。ぜひ第2弾を期待しています。