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101%メモ

幾原邦彦作品等について語るブログ

説教節の主題による見世物オペラ『身毒丸』

J・A・シーザー/演劇実験室万有引力

37年の時を経て蘇った万有引力身毒丸』を見てきました。舞台芸術とはこんなにも凄いことができるのだという感動に打ちのめされてしまいました。

継母に呪いをかけられて盲目となった少年しんとくが母親に化けて復讐する愛憎の物語。中世の説教節とヘヴィロックとオペラが融合した音楽劇は、轟音のうねりの中で幻想となり、劇場は美しい異界になりました。

16年前に初めてビデオで天井桟敷身毒丸』を見て以来、いつか見たいと思っていたものの、生のバンドによる演奏が必要だから難しいだろうと諦めていた幻の名作。今回すばらしい再演を見せていただいたことに心から感謝します。4公演だけと少ないのが残念。世の多くの人々に見てほしい作品です。

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生演奏の圧倒的迫力

身毒丸』は音楽単体で聞いても美しさに痺れる緻密なスペクタクルがある大作です。それが生演奏されるだけでもすごいのに、俳優陣のパフォーマンスと、寺山さんの戯曲によるドラマと美術が加えられる。単独でも素晴らしいものが多層的に重ねられて統合化されていました。しかも圧倒的な情報量を持ちながら余計なものが全くない。

今回19名のバンドメンバーは常にステージ上の奥におり、しかも白塗りメイクに衣装を着用(シーザーは白い衣装は着ていたものの白塗りはしてなかったかも)。これに30名の俳優陣が入れ代わり登場して劇が進みます。演奏者も俳優陣もそれぞれが緻密に計算されたパフォーマンスを有機的一体となって行う。演奏者は音という空気の振動を通じてしんとくの悲哀や撫子の怨念を演じているようであり、俳優陣は劇を支配する律である音楽と混然一体となる。 生演奏と演技が一体となっている様は、これまで二つに分かれていた万有引力の本公演とJ・A・シーザーコンサートが『身毒丸』という芸術の完成のためにアンドロギュヌス的に融合しているようでした。

俳優さんについて

髙橋優太さんの演じるしんとくは、どこか飄々としていて親しみやすい雰囲気あってとても良かったです。

蜂谷眞未さんの演じる撫子は本当に恐ろしくて、こんなに美しく独善的な人にはきっと誰も勝てないだろうと思いました。自分の実子に家督を継がせるため、先妻の子しんとくを呪い殺そうと髪を振り乱しながら釘を打つシーンは狂気に満ちていて圧巻。

身毒丸』と説経節

「しんとく丸」 今回の再演を見るにあたって、折口信夫の小説と説節「しんとく丸」を初めて読んだのですが、寺山さんの『身毒丸』には説節からの引用が多いようで、今回初めて意味が分かったセリフが多くありました。

たとえば身毒丸が「仏の母の顔が見たい」と語る際の、子を守って焼死した母鳥とは実父が前世で焼き殺した母鳥から来ているように思いますし、継母の撫子が元蛇女で鳥を食べていたのは、しんとくの実母が前世で大蛇だったことに由来するように思います。136本の釘も説節からのようです。

伊藤比呂美さんによる連載『現代語訳 説経節』( http://webheibon.jp/sekkyoubushi/ )がわかりやすくて良かったです。今月書籍化されるとのこと。 

新訳 説経節

新訳 説経節

 

家族合わせゲーム

しんとくを無視し継母と父とせんさくの3人で行われる家族合わせの場面。 「家尾護家のお母さん」や「金野成吉家の子」とは架空のゲームかと思っていたのですが、本当に「国尾護」「金野成三」などのカードが実在していたのですね。寺山さんのセリフは調べると全部何かがあって本当に面白い。 

http://www7b.biglobe.ne.jp/~yume/kazoku.html 

「地獄のオシラガミ」も柳田国男の導きによって、遠野のオシラサマの世界、つまり馬と娘が死後に結ばれるような世界にしんとくが旅をするという意味なのかなと思ったり。

 

くりかえしになりますが、今回の『身毒丸』は本当に素晴らしかったです。

万有引力の次の本公演は泉鏡花『夜叉ヶ池』(2015年6月18日~24日)とのことなので、これも楽しみです。

映画『サスぺリア』と嵐が丘学園

ユリ熊嵐

『サイコ』に続いてユリ熊の元ネタと言われる映画『サスペリア』を観た。

嵐が丘学園の内装のデザインはコレらしい。


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Jougetsu On Juniper Street - More Suspiria (1977) and Yurikuma...

 

サスペリア [Blu-ray]

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 サスペリア 1977年 イタリア

監督・脚本 ダリオ・アルジェント 

サスペリア』感想

主人公が可愛いくて背景美術が美しい映画だった。

「決して、ひとりでは見ないでください」というのが1977年公開当時のコピーだったらしいので、おそるおそる観たんだけど、ホラーシーンは作り物感が強くて、怖いというより気持ち悪かった。

でもこの映画が愛されるのは理解できる気がする。

主人公の転校してきたバレエの名門校が実は○○が支配する学園で……いう設定は漫画的で面白いし、背景セットが奇抜で独創的。猟奇的で気味の悪い映像も出てくるけれど、教師も生徒も女が多い女学校的な雰囲気との組み合わせが良い。

ユリ熊嵐との関連

学園の寮で奇怪な殺人事件が起こり、生徒たちが死んでいくところは『ユリ熊嵐』(現在2話まで放送)と通じるところがある。

箱仲ユリーカのキャラクタデザインは、主任教師のタナー女史のオマージュだろうと思った。

ユリ熊嵐』はまだどういう作品とも言えないんだけれど、『サスペリア』は魔女を扱ったオカルトであることを考えると、魔女モノとしてのニュアンスもあるのかな。