紅羽の家と映画『サイコ』
椿輝紅羽の家はヒッチコック『サイコ』が元ネタらしいと知り、BDを借りてきて観てみた。
比較検証については下記のtumblrのポストが分かりやすい。
visual analysis of yuri kuma arashi — Norma Bates’ room and Kureha’s (?) room Psycho...
紅羽のOPのバスタブの絵もサイコの引用らしい。
visual analysis of yuri kuma arashi — Yuri Kuma Arashi OP Kureha falls head first out...
※以下に『サイコ』についてネタバレあり
Psycho Trailer (1960) - YouTube
『サイコ』は昔ヒッチコックにハマったころに見てるはずなんだけど、かなり忘れていて「こんな話だっけ」と驚くこともしばしば。でも本当によくできてる話だなと改めて思った。
元ネタの検証というより普通に楽しんでしまったのだけど、改めて考えるとイクニ作品の源流を感じさせる物が随所にあった気がする。狂気と自己欺瞞に満ちた人物像、思い出の品々で埋め尽くされる閉鎖的な館等々。
紅羽の家は確かに『サイコ』のノーマンベイツの館だった。
映画の中では左側から俯瞰のアングルが多いのだけれど、外観、1階ロビー、母親の寝室も椿輝紅羽の家のものと同じ。
問題となるのが、なぜ紅羽の家のデザインにノーマの家が使われているのかということ。
前作のピングドラムも映画や小説からの引用が多かった。 冗談やお遊びの意味もあっただろうけれど、「このシーンは『ファウスト』のメフィストとファウストの関係のようなものです」とか「陽毬は『不思議の国のアリスです』のような存在です」という風に、登場人物の置かれてる状況の説明を補強する意図もあったと思う。
その意味では、紅羽の家がベイツの館であるのは、紅羽がノーマンと同じ状況におかれていることを示唆しているのかもしれない。紅羽は母親を殺したクマを強く恨み、クマを許さないで生きている。案外その記憶は自分で作り出した偽りの記憶である可能性もあるのかも。