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幾原邦彦作品等について語るブログ

「百合ヶ咲るる」登場!

コミックバーズ2014年7月号に掲載された、ユリクマ4話の感想を書きます。

4話までのネタバレを含んでいますので、未読の人は注意してください。

コミック BIRZ (バーズ) 2014年 07月号 [雑誌]

 

新キャラクタ「百合ヶ咲るる」登場

ついに「るる」が登場しました!「銀子の運命の恋人」を自称する金髪熊耳少女!傘のパラシュートで落ちてきたドジっ子の出現により、ギャグテイストが増してきました。これまで、紅羽はおとなしい性格だし、銀子は内面が読めない謎キャラだったので、自分の心情を重ねられるキャラがいなかったのですが、「るる」は動機が明確で感情がハッキリしているので良い感じです。

お城のお姫様とメイドの許されない恋

「るる」は小さいころに生き別れになった恋人の銀子を追いかけて来たようです。10年前、二人は森のお城で暮らすお姫様(銀子)とメイド(るる)でしたが、女の子同士の身分違いの恋は許されず、離ればなれにされてしまったとのこと。

しかし、感動の再会のはずが、銀子に知らないと言われて可哀そう。恋人のつもりだったのに、銀子には記憶すらもされていなかったなんて酷いですね。

てっきり、この昔話は「るるの妄想」あるいは「完全なる勘違い」かと思ったのですが、二人で写ってる写真があるので100%根拠のない話ではないようですね。

それではなぜ銀子は「るる」と一緒にいた記憶がないのでしょうか。五六才の頃の出来事なので忘れてしまっても当然かもしれませんが、なんらかの伏線なんでしょうね。

お城とお姫様―作品の世界観について

しかし「お城」や「お姫さま」は、どう解釈すればよいのでしょう。紅羽も指摘している通り、現代の日本に「身分違いの恋」とか「五六歳のメイド」がいるのは奇妙です。

るるが本当に「お城でお姫様のメイドをやっていた」ならば、この作品は日本の法制度とは異なる「王国」が存在するファンタジーということになりそうです。(インテレクチャル・ファンタジーの看板を掲げているとこと考えるとそれはそれでありそう。)

一方で今回、「ユガワヤ」という実在の手芸店をモデルにしたと思われる店が出てきたことから、この作品の舞台は実際の現代日本の都市と地続きの話であるようにも思います。

現実の日本とファンタジーとの境界がどのようになるのかが、気になるところです。

謎の魔方陣

超常的な要素といえば、今月号の最期のコマに、12芒星(dodecagram)のような物が登場しました。中心に円があって、それを取り囲むように三角形を4つ組み合わせたものと、四角形を3つ組み合わせたものです。黄道十二宮を連想したのですが、十二星座の記号などは出てきません。 「紅羽を連れ去ってこの部屋に閉じ込めようか」というセリフと共にあるため、何らかの封印する魔方陣かとも思うのですが……詳しいことはわかりません。

銀子の怪しげな行動

気になるのが、銀子のサイコな言動です。 ぬいぐるみと会話しているのは良いとしても、そのぬいぐるみの外見は、あの紅羽の夢にでてきた人食い熊ではありませんか。そして「紅羽だけいれば他は誰もいなくてよい」、「誰にも触れられないように閉じ込めてしまいたい」など、危険なセリフを言っています。「るる」はストーカー扱いで「消すか」と言われているし、本当にるるが可哀そうです。

るるが銀子に消されてしまうのか。紅羽が銀子に閉じ込められるのか。いずれにしても楽しい展開になってきました。

今月の夢

今月は夢のシーンはなし!先月ユングの話があったので、夢についての話が膨らむのかと思っていたのですが、るるの登場でそれどころではなかったですね。

夢といえば、上にも書きましたが、紅羽の夢に出てきた人食い熊が、「銀子の持っているぬいぐるみ」として現実の世界に登場してしまいました。これは一体!?

紅羽の夢の中で、紅羽は人食い熊に襲われていて、それを銀子が助けていたのですが、現実には人食い熊は銀子のお母さんのポジションにいました。 「銀子は熊から守ってくれる存在」というのは紅羽の勘違いで、今後は紅羽になんらかのマイナスの影響を与えるものになるのでしょうか。

嵐が丘

紅羽とるるが一緒に暮らすことになった「嵐が丘学園の学生会館」。「嵐が丘」といえばヒースクリフとキャサリンのあれですよね。あの名作文学の名前を付けられているのは、キャサリン的なアレが、この学園・学生寮に出るという暗示? もしそうだとすれば、異世界からやってくる「クマ」の意味も少し絞られそうな気がします。

 

今月は「るる」が登場し、銀子と紅羽の家族関係が一部あきらかになるなど、盛りだくさんな内容でした。

来月は文化祭でしょうか。るるも同級生として学校に通うのでしょうか。