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幾原邦彦作品等について語るブログ

ノケモノと花嫁・3巻までの謎について考える

ノケモノと花嫁について、以前から謎に思ってることが3つあります。 

①キリンの血とは何なのか?

②35話以降の話は現実の世界なのか?

③裁縫道具を貸してくれた女の子の正体は誰?

 読むたびに深まるこの謎について、今回は考えてみたいと思います。 

 

①キリンの血とは何なのか?

キリンの血とは……作品内では以下のように言われています。

イタルやトナカイ、エイジの体の中を流れるドロドロの黒い血。この血の力により、彼らは誰かに肉体を斬られたり撃たれても死なない。この血には「全てを可能にする力」がある。燃えるキリンに囚われていたみゆたん達を遠く離れた場所に移動させたのはトナカイの血の力だった。燃えるキリンのメンバー全員に流れている。(以上3巻P20-24より)

 

この血が燃えるキリンメンバーに流れている理由は語られてませんが、以下のような推測ができます。 

ギンは母親からの虐待を受けて脚が不自由になった少年でした。彼は特殊な能力をもつ少年、麒麟塚イタルに出会い、大人に復讐をする組織「燃えるキリン」を設立します。麒麟塚イタルは、もともと空を飛んだり人々の記憶を操作する能力を持っていました。そのため「キリンの血」はもともとイタルの物だったのでしょう。燃えるキリンのメンバーに流れている理由は、イタルからギン、ギンから燃えるキリンの子供たちへと血の受け渡しが行われたのだと推測されます。 

蛇足ですが、燃えるキリンのメンバーには、虐待を受けた子供たちの全員がなる訳ではありません。中にはメンバーにならずに死んでしまう子供たちもいます。1巻でヒツジが出逢った沢山の遺体がそれです。彼らはキリンの血を受け継がなかったため、死んでしまったのだと考えられます。

では、そのキリンの血をそもそもなぜ、麒麟塚イタルはもっていたのか?キリンの血を焼くことができる、「業火」とは何なのか?これらの謎は残ったままです。

 

②35話以降の話は現実なのか?

トナカイに「燃えるキリン」の矛盾を指摘され、信念に迷いが生じたギン。アリスにイタルとの過去を訊かれ、自らの過去を語り始めた。 

イタルの語る過去。そこには、アリスに似た有栖川という少女が登場します。他にもまろにえに似た大倉、みゆたんに似た市橋が同級生として登場します。なぜ「似てる」かというと、将来(34話まで)の世界では彼らは面識がないように見えるからです。

34話において、アリスはギンとイタルの過去について何も知らないかのように問うています。まろにえとみゆたんも、「ギン」と面会したとき、まるで初対面のような反応をしています(2巻P108)。

それでは、35話以降の有栖川や大倉、市橋は、アリス・まろにえ・みゆたんとは別人なのでしょうか?あるいはこの世界は一種の並行世界のような、34話までとは別の世界なのでしょうか? 

一つ考えられるのは、麒麟塚イタルの持つ能力です。前述のとおり、キリンの血には「全てを可能にする力」があります。麒麟塚イタルはアリスやみゆたん・まろにえの記憶を操作している可能性があります。

なぜそのようなことができるのか。またその理由については残念ながらわかりません。 

 

③裁縫道具を貸してくれた女の子の正体は?

3巻92ページに登場する、みゆたんが裁縫道具を借りにいく隣のクラスの女の子の話です。ドールを作ってしまうほどの腕前があり、顔が見えませんが、可愛い子だと有栖川に言われています。

この女の子が世羅ヒツジ(あるいは真珠)ではないかという説があります。ヒツジはクマや女の子のドールを作る腕前があり、31話で母親と共におヨメさんとクマの人形を作るヒツジは、確かに隣のクラスの女の子に似ています。 

今のところ考える材料が少なすぎて、ただ似ているというだけで推測もできません。しかし、クマのぬいぐるみにはイタルが入り、おヨメさん人形をヒツジは自分だと言っていることから、ドールと人間のあいだに何かがあるのかもしれません。 

また、ネット上では有栖側=ヒツジと考える人も多いようです。よく見かける意見なので何かがあるのかもしれません。 

また新しい材料や発見があったら考えたいと思います。