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幾原邦彦作品等について語るブログ

J・A・シーザー コンサート 大鳥の来る日 ―The End Of The World―

J・A・シーザーのコンサート『大鳥の来る日 ―The End Of The World―』に行ってきました。 豪華出演者による盛りだくさんのステージ。「悪魔の家」時代のナンバー、寺山演劇、万有引力の演劇的要素、そして少女革命ウテナ寺山修司没後30年・万有引力30周年のトリとなる素晴らしいコンサートでした。

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今回の会場は、池袋の豊島公会堂(みらい座いけぶくろ)。 東京は雹が降るなどり寒い日でしたが、会場に着いた17時半ごろには雨脚も収まっていました。

次回本公演の『観客席』のチケットを購入して開場時間まで待機。 すると建物の外まで『絶対運命黙示録』が漏れ聞こえてきました!通りすがりの女の子もウテナの歌だと気付いたのか、足を止めて聞き入ってます。期待が高まります!

18時になり開場。座席を確認し、物販を観るためにロビーに出ると、幾原監督のお花を発見しました。

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幾原監督は昨年の新宿FACEの際もお花を贈っていましたね。今回も豪華です。ロビーの目立つ場所に飾られていました。写真を撮っている人もチラホラ。

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場内に戻るとスクリーンには今回のリハーサルの映像が上映されていました。着席して、曲目リストなどをチェックしながら開演時間を待ちます。

第一部

01.絶対運命黙示録

02.天使創造すなわち光

03.ワタシ空想生命体

時間になると、場内の照明が落ちて、「絶対運命黙示録with万有引力」のイントロ(「ジャンジャンジャンジャン」というアレ)がループして鳴り響きました。世紀末的な雰囲気に包まれた中、出演者のみなさんが入場。人数が多くて大迫力。舞台奥がバンドで、手前が合唱隊という布陣。合唱隊だけで20人位いたかと思います。

スクリーン及び天井にウテナの映像が映しだされ、ギターの「ギューン」で演奏スタート。

この日の『絶対運命黙示録』は、今までに聞いたどの演奏よりも抜群に格好良かったです。時間も経ってますし、座席が違うので単純に比較できないのですが、昨年の新宿FACEの時よりも完成度が上がってる気がしました。

昔、ウテナのリアルタイム放映時に、バンクシーンが「with万有引力」バージョンに変わって、「本家キタ」と嬉しかったのを覚えていますが、その時に近い喜びを感じました。 慣れ親しんでいた曲を、豪華なバンドと合唱団による迫力ある演奏で聞ける幸せ。今のシーザーバンドは、ただうまいだけではなくて、シーザー曲のカッコよさを存分に引き出している気がします。

予告されていた幻の2番の歌詞ですが、オープニング一曲目ということで圧倒されていて、我に返ったときには大半が過ぎていました。覚えておこうと思っていたのに残念。

「天使創造すなわち光」「ワタシ空想生命体」と続けて演奏。カッコいい。

昨年のコンサートの時は、シーザーの個人史を語るような形式で、幾原監督や、森岳史さん、外国人女性との恋の話などのVTRがあったのですが、今回は前置きなしでどんどん進む感じ。

第二部

04.煙草極楽浄土

05.鎌倉外人歩抄

06.母恋しや珊瑚礁

07.越後つついし親知らず

08.ジンギスカン

照明が落ちて、「狂女節」が流れるなかステージ上では、配置換えが行われ、シーザーが中央に登場。

「煙草極楽浄土」「鎌倉外人歩抄」を立て続けに演奏しました。どちらも「J・A・シーザーの世界」に付属の「冥蔵歌―J・A・シーザーライブ封印歌集」に収録されている曲ですね。このCDは書籍のオマケとは思えないくらいに本当に良くて、この日も池袋に来るまで聞いていました。

「煙草極楽浄土」は激しいギターとシーザーボーカルが炸裂して痺れます。「鎌倉外人歩抄」は外人女性の英語セリフと鎌倉の町が融合した曲。呪術的なソプラノのリフレインが印象的です。 「母恋しや珊瑚礁」「越後つついし親知らず」「成吉思汗」も、定番のナンバーになってきました。このあたりの曲は昔の渋谷ジャンジャンのライブでもよく演奏していたそうです。70年代にこんなにも独創的で日本人の魂に響く曲を演奏していたというのが驚きです。

曲と曲の合間には、最近のシーザーコンサートではおなじみになっている、手書きの譜面(歌詞)のプレゼントがありました。頑張って手を挙げたのですが、残念ながら思いは届かず入手できませんでした。近くの席の方がゲットしていたので、少し覗かせてもらったところ、J・A・シーザーのロゴ入りのオリジナルの原稿用紙に、日付とサイン入りで描かれているようでした。

第三部

09.子供和讃

10.桜暗黒方丈記

11.天幕エレジー

子供たち5人からなる少年倶楽部合唱団がステージに登場。Yシャツに学生服のズボンで横に並ぶと、柱時計こそ持っていないものの完全に「田園に死す」の世界。変声期前の声で「こども和讃」を歌われるとやはり心が揺さぶられます。聞いた話によると客席には涙ぐんでた女の子もいたのだとか。

「桜暗黒方丈記」に続いての「天幕エレジー」は少年ソプラノ一人による独唱。その裏で、浮浪者的な怪しげな風貌の男が登場しての舞踏。徐々に演劇的な要素が強くなってきます。

第四部

12.犬神サーカスジン

13.のぞきからくり赤い帯

14.霊燕記

15.風見鶏マリー

16.惜春鳥

17.サキの夢

18.盲目ばやし

こどもの神隠しを巡る演劇パート。サーカス団がやってくる祝祭的な雰囲気。万有引力の公演を見せてもらってるようで楽しい。

そして蘭妖子さん登場。蘭さんは、これまでイベント等でお姿をお見かけしたことはあるのですが、ステージを観るのは初です。唄もセリフ回しも、寺山さんの映画や舞台の映像そのままで、オーラがあって感激しました。「惜春鳥」が終わると、客席がワッと湧くなど。蘭さんの確かな人気を感じました。

蜂谷さんは「邪宗門」の真っ赤な和服姿が印象に強いのですが、今回は全身黒ずくめ。客席後方を歩きながら、「霊燕記」はしっとりと、「風見鶏マリー」は女の凄み効かせたように歌い上げました。

第五部

19.子供遊戯七夜

20.被愛妄想鈴蘭燈

21.田舎モンという名の恐ろしヤンマ鬼蜻蛉

22.累々讃歌~夢の地獄~

23.最後の地獄

シーザーの歌う後半パート。天の声・高田さんとのやりとりが楽しい。

シーザーによると、今回は事情により実現しなかったものの、荒井沙知さんにも出演して欲しかったとのこと。

そして来年はコンサートを開催することがスケジュール的に難しく、年々喉がきつくなってるので再来年となるとどうなってるかわからない。そのため「今回が最後かも」とのこと。

そんな……あまりのことにショックを受けたのですが、「ただバンドがそうはさせない(止めさせない)とは思う」と付け加えていたので、次はあると信じます。

この素晴らしい演奏と、歌をもっと聞きたいのです。

サビの部分が頭に残る「田舎モンという名の怖ろしヤンマ鬼蜻蜒」。疾走感ある「累々賛歌(夢の地獄)」。 『お前お前お前お前~』が情熱的な「最後の地獄」。どれも良かったです。

第六部

24.大鳥の来る日 

クライマックスは、蘭さんがシーザーの横に立ち、みんなでの大鳥の来る日の大合唱。 以前、新高恵子さんが「寺山修司ワールド」のインタビューで、この曲の素晴らしさについて語っていたのですが、それが少しわかった気がします。圧巻の大迫力でした。そして演奏者の紹介。スクリーンには、一番最後に「Special Thanks 森岳史」の文字が。大歓声と拍手の中で終演。 

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ライブを3回観ただけで、こういう言い方をするのは僭越ですが、シーザーのライブはどんどん良くなってる気がします。過去の歩みはもちろん偉大なモノですが、シーザーは伝説の中だけのヒーローではなく、現在に生きるカリスマだと感じました。

作曲家・演出家としてのシーザー世界も素晴らしいですが、AsianCrackBandという存在を得て、自らの肉声で歌うシーザーにも痺れます。一連のコンサートを見て、さらにその世界を知りたいと思いました。

来年発売されるという新刊書籍と構想中の新曲、そしてもちろん演劇も楽しみです!